音遊び

『音あそび』というユニットのライヴを観にいきました。


この3人組、ちょっと凄いのです。

ブラジリアンミュージックと聞くと、
しっとりBOSSA、あるいは大地に根ざしたプリミティブなビートを
思い浮かべるひとが多いかもしれませんが、
そーゆーんじゃないのです。


超スリリングなリズムと、果てしなく優しいメロディの同居。
なかなか稀有な世界を作り上げております。


***


殊に、
仙道さおりというパーカッショニストの、
虜でして。


色彩を持つタイコというか。
音に対する解像度がどこまでも高く広くて、
どちらの方向にも進める感じというか。。


ひとつのステージで操る楽器は数十種類。
織り成す音色は…それこそ計り知れなく。


そこにあるのは、
波長と振幅というふたつのパラメータしか持たない空気の振動だけであるにもかかわらず。


色や、温度や、匂いまでを感じる音。


いや、ことばではとても追いつけないのですが。


***


パンデーロを激しく弾いていた指は瞬時にスティックに伸び、
早いストロークのスネアに心焦らされていると、
それはすぐにボンゴの連打に変わり、
左足は小気味よくハイハットを踏み続け、
右足はカホンをキックしており、
また次の瞬間には別のスティックがスネアのリムを震わせて、
いつの間にか握られたシェイカーは。。いったい何種類あるのか。


物語が展開するように、さまざまな色と光を放つ打楽器たち。


きっとそれでも足りないんだろうな、と思う。


このひとにはとてつもなく広い広い世界が見えていて、
僕らとその世界の間にあるカーテンを、一部めくって見せてくれているような気になる。


コンガやカホンのソロなんて、完全に別の世界にいってしまっていて、
(それはトリップではなく、意識的に「向こう」に行って遊んでいる感じ)
息を呑んでしまう。


あぁ、きっとことばよりも先に音楽を獲得した人間なんだろうなって、納得する。


悦楽のパーカッション。


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あと、ついでに言うと、非常にかわいいひとです。


演奏中、はりつめた表情から、時折ふっと、
こぼれるように笑顔になる瞬間がとても好き。