先月のこと

その訃報を聞いた夜、
実に単純なのか共鳴をしやすいのか、


乗っている飛行機が落ちる夢をみた。



「それ」は、
思ったよりもあっさりと訪れ、
思ったよりも安らかに僕を包み、
電源を落とした瞬間、モニタに走るノイズのような、
かすかなパルスの残響だけを残して。


無限に長く感じられるその一瞬には、
あらゆる悟りが、色が、夢があって。
「あぁ、そうか」
と、何がそうなのかもわからないまま深い納得だけを味わい、


そしてそれは僕を包んだままゆるやかに、
ゆるやかに、溶けていった。



まるでそれが当然であるかのように、
あるいはそれは奇跡であるかのように、
最後に辿り着いたのは、いつもと同じ鈍重な目覚め。


四季博士も言っていたように、
意識を失うことを快く、意識を取り戻す瞬間を不快に思うことは、
考えてみると不思議なことで。
けれどもきっとごく自然なことで。


ひとは毎夜、死と再生を繰り返すのだな。と思った。


ひとりで。